「奨学金の返済支援」

「奨学金の返済支援」

3月29日(水)

 昨日の岐阜新聞に「奨学金人生の重荷」「編成結婚に影響」「子育て世代の支援策見えず」という大きな見出しの記事がありました。

 記事の内容を読んでみると本当に大変なことだと思います。特に今の子育て世代は本当に大変なのだと痛感させられました。自分が若い時を思い出してみると携帯電話はありませんでした。今どきは携帯があって当然の世の中であり持っていなければ生活そのものが成り立たない世の中になっています。また、子育ての面でも塾にも通っていて当然です。自分たちの頃には、塾に通っていない子の方が多かった気がします。こうした携帯電話、塾、結構な負担だと思います。そもそも、見出しにあるような「奨学金」は大学、専門学校等の高等教育に必要なものであり、「大学に通っていて当然」という世の中が生み出した制度なのです。このように当たり前の価値観を大人の都合で変えてしまったしわ寄せが今若い世代の価値観を完全に変えてしまっているのだと思います。本当に寂しいことです。

 また、社会モラルの変化も大きく影響していると思います。例えば、このように人生を左右するような大きな問題に関しては先輩たちに相談できる雰囲気であったし、お節介なおじさんやおばさんたちが寄ってきて、ボーイフレンド、ガールフレンドの話、子づくりの話、結婚について勝手に話し出したものでした。しかし、今は一歩間違えばセクハラ・マタハラ・マリッジハラスメントになるようで、話し手にも大きなリスクとなってしまいます。これも心痛い話でありますが、私のような立場の人間には絶対に気を付けなければならないことです。

 それでも当社には、こうした悩みを話してくれる子がいて結婚の価値観について聞くことがありました。結婚について「結婚しないとは言えないが、ハードルは高いと思う」何故ですかと尋ねてみると、「子供が生まれる時に奨学金が足かせになる、産休や育児休暇、マツバラは制度は整っているが、奨学金の返済は配偶者に依存することになると思う。相手に「貸し」をつくるようで嫌だ」というような内容の話であった。もちろん、この意見が全ての若者の意見ではないと思いますが、今の子供たちはデートも割り勘が普通なようでもあり、相手にお世話になる事が、それが配偶者であっても「貸し」という感覚になってしまうことも「価値観」の変化なのだと思います。

 もしも自分の子どもたちが同じ感覚でいるとしたらと思うといたたまれない。そして、社員さんは私にとっては家族も同然なのである。「誰一人取り残さない」「皆が幸せになって欲しい」「悲しい思いは絶対にさせない」、いつも真にそう願っています。

 「奨学金の返済」なるもので、この先の未来に不公平があってはいけない。こうした思いから出てきた結論は、「奨学金は会社が返済する」ということです。

 マツバラでは既に奨学金の返済支援をスタートしています。もちろん無制限に永遠にということではありません。「30歳まで」という条件を第一につけました。20代は一番遊びたいとき、そしてその遊びの経験こそが未来の成長の種なのであり、奨学金の返済がある人とない人でこの経験に差が出ることは一生の成長に差をつけると考えたからです。もう一つの考えとして、当社の先輩たちを見ると30歳までに十分に返済が重荷にならない賃金レベルに成長することが出来るということ。もちろんそれは本人の努力次第ですが、逆に「マツバラにいれば返済してもらえる」という考えが成長を阻害する要因になってはいけないと考えたからです。また、金額上限も設けました。返済期間により返済額は当然に変わってきます。30歳という期限を設けた以上、全額という設定では返済期間により大きな不平等が生じるからです。しかし、一般的な奨学金の返済であればこの制度でほぼ自己負担は無くなると聞いています。

 昔、集団就職で多くの人たちが、当社にもそして近隣の企業にも来てくれました。こうした人たちはほとんどが中学校卒業でした。こうした人たちに「中小企業のおやじたち」は身銭と身時間(職場を離れる最後の1時間くらいは有給)を使って夜学に通わせていました。当社にもそうした人はおられました。「子育て世代の支援策見えず」、新聞は政府の支援の在り方を説いていますが、そもそもこうした取り組みは社会全体がわが身のことと考えて取り組むべきなのではないでしょうか。

 私の子供に私が何かの返済を肩代わりするにしても、恐らく上限を決めて、年齢制限を設けたと思います。「社員は家族」よく聞く話ですが、こうした一生に関わること、命に係わる事には自分(会社)のことを考える前に先ずは社員のことを最優先する。我が子と考えれば当然のことです。故に、奨学金の返済は当然の決断であり、4月の賃金も世間相場を大きく超える額で上げていきます。現在の物価の伸びを見るとこちらも当然のことだと思います。

 「今こそ経営者の覚悟が問われるとき」が来ているのだと思います。そして、必ずその思いは社員さんに伝わるはずです。「儲かったらする」のでなく「必要だからする」、この姿勢が今大切なのだと思います。

 今日で今期の操業は終わりです。明日、明後日と棚卸を進め今期は終了となります。今年は大きく会社が成長できた年でした。来期もまた社員さんたちと大きな成長を遂げて行けたらと考えています。

社長 松原 史尚

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