「本当に残念です」

「本当に残念です」

11月16日(木)

 今日の岐阜新聞にソフトバンクホークスの高橋純平さんの話が出ていました。今期、ソフトバンクから戦力外通告を受け、トライアウトに臨んでいたという記事でした。高橋さんは息子の一つ上の先輩、息子は捕手でしたから練習では多くのボールを受けてきました。「直球も凄いけど、スプリットとツーシームがえぐい」その頃息子が話していました。本当に残念なのは、2021年右手の指を骨折したこと。その前の年にブレークし、骨折の5月8日まで1軍で10試合を投げ防御率は0.00、ソフトバンクの勝ちパターン投手として活躍していました。ボールが当たったとかいうものでなく、報道では「不注意」という表現で記され、当時の工藤監督は「効き手は絶対に気負つけなければならない。不注意で済まされない」とコメントしました。勝ちパターンの投手が外れるということは本人にとっても、チームにとっても本当に大きなことです。結果として、この年ソフトバンクは5月までは首位をキープするも6月以降徐々に成績を落とし、この年は4位に終わりました。前年は優勝のチームが、です。中継ぎ、その中でもセットアッパーと言われる投手は年間を通じて50試合以上登板することも珍しくはないのです。故に勝ちパターンには通常抑えを含めて4人程度というのが普通です。結果として、高橋さんの後継として2軍から昇格することになるのですが、実力がないから2軍にいるわけで、もしくは実力がないから負けパターンの投手陣にいるわけで、こうした代役が同じ働きが出来るわけでないのです。結果的には残った実力ある投手への負担が大きくなり疲労から打たれるようになり、勝てるゲームを落としていく。また、本来先発投手を変えたいタイミングでも「もう1イニング」といった選択をすることもあり、そのタイミングでの失点、また先発投手陣への疲労といったことにも繋がっていきます。つまりはあの年の高橋さんの「不注意」は常勝ホークスをBクラスに落とし、そして今尚優勝から遠ざかる事態へと導いたことになるのです。怪我をする前の高橋君は本当にすごかった。そして、その後の高橋さんを2軍戦で見ましたが、ボールが指に引っ掛かり抜けていく大変に荒れたボールを投げる投手になっていました。「全てはあの時(不注意)」なのです。結果的に、高橋さんはその骨折から二度とスポットライトが当たるマウンドでは投げていません。

 「不注意」、プロとしては絶対にあってはいけないことなのです。たった一人の不注意がチーム全体にこれほどの影響を与えました。どんな世界でも同じことです。息子は高橋さんのボールを受けるために、キャッチャーミットが2つもダメになりました。それでもそれが本当に嬉しくありました。2軍戦でも今年は登坂を見ることは少なかったのですがスポーツ紙のファーム情報では結果でなく探す名前は高橋純平でした。同じ苗字高橋礼も今年はファームにいることが多くありました、高橋と名前を見ると浮き浮きし、礼とみるとがっかりしました。今でも心から本当に応援しています。中日が取ってくれないかなあ。息子が下級生でしたが12の背番号をもらい、純平さんの球を受けている姿を見た時、うれし涙があふれ出た記憶は遠くない昔です。今からあの時に戻れるのであれば、息子にも高橋さんにもかけたい言葉が山ほどある。いつか終わる野球人生だけれども、それが今出ないことを心から祈っています。

 因果応報「不注意」、その後悔は決して消えることはないだろうけれど、「運と徳」を身につけられるとするのであれば、それは自分自身への野球をしたいという執着よりも先ずは「母への感謝」。ボーイズリーグで、県立岐阜商業で何度もお母様をお見掛けしました。本当に頭の低い素敵なお母様。先ずは、お母様にこれまでの感謝の言葉を掛けられること、今尚、胸が避ける思いであなたを心底応援しているのは母上様です。その母上様に感謝を申し上げること方始めたら奇跡が起きるかもしれません。そしてこの先も親孝行はいくらでもできます。また躍動する姿が見られることを心から願います。

 大谷翔平さんではありませんが、毎週続けているゴミ拾いに今日は行ってきました。誰かのためにすることではありませんが、それでも今日だけは高橋さんがトライアウトの結果どこかの戦力として期待されることを心から祈って拾いました。

 今日は仕事とは全く関係ない話になってしまいましたが、「プロ意識」、特に怪我に対する意識は全ての働く者にとってそれ以上に大切なことはなく、一人の不注意が仲間に大きな痛手を負わすことになる事をお伝えしたいと思いました。

社長 松原 史尚

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