「今週も始まりました」

「今週も始まりました」

3月18日(月)

 月曜日は定例の朝礼当番です。朝礼ではブログでは一部綴りましたが「賃上げ」について語りました。これまで、ベースアップについてのみ社員さんには伝えてきました。それは「平均で何%上昇させた」という話をすると自身との比較で「自分は平均以下なのか」「会社には必要とされていないのか」といった感覚を持たれる社員さんが出るのではということを不安視したからです。もちろん、不要な社員さんなど一人もいません。それでも昇給に差が出てくるのは当然のことだと考えています。新入社員さんで入ってこられる人たちは最初から給与が高いわけではありません。特に新卒で入社される社員さんは、年齢や家族構成も考慮されることはありませんから、初任給が低いのが当然のことです。一方で、こうした新人さんたちの職能の成長は永年働いている人たちと比較し大変なものです。単位年当たりで評価、伸び率で示すならばベテランが数%に対し、新人さんは数十%で成長することは当然のことです。ということは、職能レベルで評価するのであれば、こうした新人さんや入社数年目の社員さんの職能給の上昇率は高くて当然なのです。全社員さん皆さんが、例外なくこの時代を通っています。また、日々目標を持ち、課題解決に向かって取り組んでいる人たちと、与えられた仕事だけを言われるがまま進めている人に差が出てくるのも当然の話です。こうしたことに触れることもなく、誰もが傷つかないことだけを話していてはいけないと思い、当社の平均上昇率についても話す決意をしました。皆が覚悟を決めて成長を目指さなければならない時代が来ている。そんな思いです。また、新聞等で大手企業の平均上昇率が大々的に報じられる中で、こうした数字を隠しておくことも、逆に不安を与えるという考えもあり、公表することとしたのです。

 私の姿勢は常に時代の先を予想して、社員さんたちが困る前に手を打つというものです。物価が上昇して社員さんやご家族が困窮してからでは遅いのです。2020年コロナ禍の幕開け、世界同時不況の勃発時に予想したのは円安、そしてそれに伴う物価の上昇です。従って、この時点で4000円レベルのベースアップを含む、平均3%を超える賃上げを実施しました。翌年、政府が3%を目標として掲げましたが、多くの大企業すら追従出来ていませんでしたが(コロナの影響で収益性が鈍化していたので)、その時点でマツバラは既にそれ以上の数字を1年前に実施していたのです。「手は先に打つ」から社員さんを困窮させることがないと思うのです。今回も同じ考え方で進めました。「マイナス金利解除 賃上げ実施で条件整う」「春闘 満額回答 賃上げ平均5.28%」、こんな文字が新聞紙面を賑わせています。伸び率のグラフも合わせて出ていましたが、昨年の平均値は2%を少し超えたレベル、国が大騒ぎをした2020年も2%が少し下回ったレベル、2021年は1%台した。マツバラの平均値でいえば、昨年が6.2%台、そして今期は明確な数字は出ていませんが、3.5%レベルになるのではと考えています。既に報じていますが、地元の鉄道なども有する超優良企業のベースアップが「過去最高」という表現、昨年からは少しダウンのマツバラと同額でした。東海地区の超優秀なユーティリティ関連企業が昨年5千円、今年1万円、この金額もベースアップではマツバラが超えています。実施することは簡単です、ようするに私がその覚悟をするだけです。しかし、会社である以上、多くのステークホルダーが存在するわけで、賃上げにより赤字にしてしまっていたのでは意味がないのです。それでは社長としての責任が果たせていません。実際、コロナ禍、円安・物価高時代に向けて実施した3%越えの賃上げの実施、会社はその年、大赤字に転落をしました。それでも「最悪期だからこそ人は変われる」、「会社の最悪期は社員にとっても最悪期」、そんな思いは通じると信じました。結果、「赤字は1期まで」と社員さんたちが死に物狂いの努力を重ねてくれました。雇用調整の助成金や物流調査のための助成金、あらゆる手段を活用して経営を黒字化させてくれました。そして黒字の目途が立った、2022年度下期からは「教育」に一気に舵を切り直しました。雇用調整の助成金を取得するのでなく、「コロナ禍と間もなく明けるコロナ後の社会、大変な時代の変革期になる。」こう予想しこの時に戦える組織を創る。そんな取り組みを始めました。そして、そのためには「ガソリンが要る。」「空腹では戦えない。」こうして進めたのが平均6.2%台の賃上げです。今期もそうでしたが中途入社で、極例、賃上げ会議の前日に入社した人まで変わらずベースアップを実施しました。想像した通りの時代が来ました。これまでマツバラの売り上げをけん引してくれた産業、特に中国向けを主力とした産業は大変な落ち込み方です。その他にも永年マツバラをけん引してくれた産業が7割落ち込む事態にもなっています。終盤に来て、自動車の不正による生産停止の影響を受けた落ち込みも大きく響きました。それでも国の補助金を一切受けることなく何とか営業も黒字、経常ではしっかり黒字という形で今期の幕を閉じようとしています。こうした手を打てていなかったら、どうなっていたでしょうか。想像するだけで、恐ろしくなります。「人には無限の力がある」、社長のここ一番の覚悟、それは社員を信じることが出来るかどうかだと思います。そして、社員の会社を見る目も大切です、インフレ下で受注は下がっていく、価格転嫁はどうしても後追いになる。そうした状況の中で、一緒に苦しみ数字を出してピンチを乗り切ることも大切でしょう。しかし、その中でも社員さんのピンチを最優先に手を打っていく。超インフレ時代の到来は昨年には分っていたこと、その中で、社員は苦しむが、先ずは過去最高の利益を出し、その上で分配していく。一流ブランドの超大手企業様には、出来る手段でも、我々中小企業では数字を出す前に戦ってくれる人が消えてしまいます(離職してしまう)。赤字になっても先ず社員さんの力を信じるのです。こうして進めたから、社員さんが懸命になってくれたと思うのです、そして知恵を絞り、先ずは助成金を活用しても経営を黒字化させ、そしてあらゆる分野での改善、教育を進め、この先進むであろう、多様化社会への対応力を上げ、ついにはコロナ後社会への進化を完成させることができました。

 一方で、これで終わりと思っていたら、即座に船は傾いていきます。まだまだ大変な時代は続きます。私は飲食業の社長もしています。飲食業の材料費は30%を超えたら、収益はほぼ出せないと言っても過言ではありません。しかし、製造業は5割を超えてきます。何故、5割で収支が保てるか、それはいつお客様が来て、いつ来ないか不透明な飲食業と比較して、製造業は安定的に仕事が出来るから計画的に物が造れるし、人の確保も出来るからなのです。それが今、今月は約束した量の30%を超えた受注があるかと思えば、翌月には約束の5割しか来ないといったこともあるほど時代が流動的です。お客様にもこうしたことがないようにお願いをするのですが、お客様自身が物流を掴めていない状況です。また、人も簡単には採用できない時代にもなりました。暇だからと簡単に人は手放せません。(マツバラは一度も人員整理の経験はないですが。)つまりは大きな時代の変革期を迎えているのです。時代の変化、その変化に順応できなければ滅びていくのです。それは歴史が証明していますし、生物ならば絶滅しています。こうした時代に更なる進化をしていくためには、差し障りのない話だけを社員さんにしていたのではいけないのです。ベースアップと一部手当のアップだけの人もいます、地元の超優良企業が最高値と示した16000円をはるかに超える賃上げを勝ち取った社員さんもいます。この先は社員さん一人ひとりが「覚悟」する番だと思います。物価上昇分の最低限はベースアップで補います。しかし、それ以上の成果を勝ち取りたいのであれば、自身が進化する以外にないのです。そして多くの一人が進化して始めて、マツバラ全体が更なる進化を遂げていくのです。覚悟を決めて、皆さん進んでいきましょう。

 少し長くなり、これほど詳しく朝礼では話せていませんが、私の思いも込めて、意識ある人はブログも呼んでいただければと存じます。

 今日はおそうじ活動の日でもありました。安全の基本は「おそうじ」です。「安全」あってこその改善、そして進化です。そのおそうじも本当に進化しています。どうしても鋳造業は埃が積もります。それでも職場、職場で積もった誇りをこまめに除去してくれています。本日のおそうじ巡回の中で、担当者さん一人ひとりにお礼を言って歩きました。安全を確認して、ベルトの下に潜り込んで作業をしてくれている人がいます。安全帯を付けて高い位置の埃を落としてくれている人がいます。その落ちた埃をきれいにそうじしてくれている人がいます。感謝感謝です。今日は、マツバラ元気プロジェクトの終了イベントもありました。少し時間が取れたので、製造元気プロジェクトにも1時間ほど参加できました。嬉しい進化がたくさん覗けました。今日のブログは少し長くなり過ぎましたので、明日のブログで綴ろうと思います。

 負けてたまるか大作戦、今週も楽しく行きましょうね。

社長 松原史尚

社長ブログカテゴリの最新記事