「プチ営業会議」

「プチ営業会議」

3月13日(水)

 昨日見積もりの承認ノートが回ってきました。お客様から見積もり依頼が来ますと、各部署が見積もりを実施し、最終的な価格を営業部で算出し、見積書に社印を押し、お客様に見積書として提出します。その見積価格に違和感を持ちました。取引量と比較して、取引価格が安いと感じたのです。以前から取引はありましたが、それほど多くの取引があるお客様でもありませんので、何故に「特値」的な値段が出ているのかの理解も出来なかったのです。そこで、担当者とのプチ営業会議を営業担当役員同席のもとで開催しました。

 先ずは、何故にこうした特値が出たのかという説明を受けました。このお客様は精密加工分野で高い技術を有しておられ、昨今の別のお客様からの引き合いでこうした精密機械加工分野の技術が必要な案件が多くあり、どうしてもこのお客様との関係を強化したいということ。加えて、このお客様もその先にあるお客様からの今回の受注をどうしても確保したく、「指値」がありました。と聞かせてくれました。よく理解できました。ということで、今回の見積もりについては原案通りに承認、提出することとしました。

 しかし、この受注を引き受けるにあたって大切なことをお願いしました。

 先ずはこの受注が「特値」であることをしっかりお伝えすること。その上で

  1. 当社がお客様に何を期待してこの特値を出させていただいたかをしっかりとお伝えすること。それは精密加工分野に期待を持っていて、この先こちらからの引き合いについてもお願いしたいことがある。ということ。
  2. 価格について。恐らく、当社の価格は、家族経営等で経営をされている企業と比較すると、少し高く感じられるかもしれません。しかし、高い理由が存在するということ。その理由として未来永遠に安心して鋳物を買っていただくために多くの投資をしているということ。例えば

・「環境への対応」

 我々の生産する鋳物製品の半数以上は完成品となって海外に送られていきます。例えば、ヨーロッパなどでは環境に関する規制は大変厳しく、部品の製造に至るまでその規制は適用されています。そのため、マツバラにはこうした環境法制に対応する専門のスタッフが存在します。常に国内だけでなく世界中の最新の環境規制(法令)を取得し、その規制が施行される前にその規制に対する対応を完全にしています。もちろん、こうした情報は専門の機関と契約をして有料で情報を入手しています。こうした規制が施行されると、EU関連とのお仕事をされているお客様から必ず確認の連絡が入ります。その折には、既に問題なく完全な対応が終わっています。

・「安全・衛生・厚生への対応」

 環境と同じく労働法令もよく変わっていきます。最近では「働き方改革」等が顕著なところです。こうした法令も同じく専門機関より情報をいち早く入手し、法令が施行された時には完全に対応が終わっており、更にその先をいっています。例えば、昨今では有給休暇が最低限5日間取得されていることといったことが法令化されましたが、当社では9日を最低としています。取得率は90%を超えており、ほとんどの社員さんたちの取得率は100%です。育児休暇を男性が取得するなどといったことはマツバラでは当然です。徹底した、社員さんの働きやすさを追求しています。

・「完全なトレーサビリティシステム」

 品質上や法令上の大きなトラブルが発生しますと当然、トレーサビリティの仕組みが必要となります。ISOの関連から全部署もちろんこうした体系が出来ていますが、マツバラでは「電算室」を設置し、完全なシステム構築をしています。既に30年こうしたシステム運用をしています。以前は大変大きな電算機を何台も置いて管理してきましたが、最近はクラウド管理も進みスッキリとした電算室になりました。万が一のウイルスやハッキング等への対応のためバックアップ体制も完全に運用をしています。

・「設計」「品質保証」

 最近は鋳造の研究をしていただける大学がほとんどなくなってきました。従って、鋳物を勉強(研究)して社会に出てくる技術者さんが非常に少なくなっています。そのような環境下にあり、なおかつ最終ユーザー様は人事異動なども重なり、鋳造について専門でない技術者の方が鋳物の初期立ち上げをしなければならないケースが増えてきています。初期段階のデザインはお客様から出されますが、そのままでは製造できなかったり良品率の著しい低下を招いたりで、結果的に価格が高くなるといったケースもあります。こうしたケースにも完全に対応できるように設計のスタッフ、品質保証スタッフも十分に確保し、お客様の最終価格が適正になるような仕組みも持っています。最近では、世界的なカーボンニュートラル等への対応も求められるようになってきています。このクラスの改善になると、とても改善レベルの話ではなくなります。そこで大学等とも協力し、国の支援なども受けながらこうした研究開発にも取り組み具体的な地球環境への貢献も始めています。こうした取り組みの中から過去に3名の工学博士が誕生しており、現在も1名が大学の博士課程で研究をしています。もちろんこうした研究のための費用は学費、移動の交通費含めて全額会社負担です。

・BCPへの取り組み

 法令上の取り組みは当然としても、設備トラブルによる供給不安が中小製造業を取引先に持つお客様には常に存在していると思います。古い機械はこうしたトラブルが常に存在します。従って最新の設備を有する投資を積極的に行うだけでなく、保全体制の強化も進めています。スペシャリストの担当部長を筆頭に9名の保全体制を持ちその多くが20代、30代というスペシャルチーム、見学に来られる大手企業の皆様が羨むレベルのチームです。このチームが常に点検・手入れを繰り返し、急所部品は常に確保しながらサプライチェーンをつなぐ万全な体制を有しています。

・賃上げ

 常に物価高騰への情報を入手し、物価上昇分についてはベースアップの形で全社員に賃上げを実施しています。その上で年齢・職務・職能といった本人のスキルと家族構成なども考慮した賃上げを実施しています。

・人材の確保

 例えば30歳までは奨学金の返済を会社が実施する(30歳としたのは、その年齢までに返済が苦にならないほどの賃上げを実施する自信があるから)等、社員満足実現への多くの取り組みをしています。福利厚生なども万全に進めています。「従業員諮問委員会」(私は従業員という表現が大嫌いなのですが、社員さんたち自身で命名した委員会なので仕方がありません)という、社内に存在する社員さんたちにとっての不具合・違和感を話し合って役員会に上程する機関があります。どこかの組織を通ってくるものでなく、一切の忖度無しに直接役員会に提案され必ず役員会がその提案に対する答えを出します。こんなことやそんなこと、様々なことをしていますので、十分な働き手の確保が出来ています。

 これら全ては決して無料で出来ることではありません。

 昨今、仕入れ先様の設備が壊れてしまい、突然供給が止まってしまったお客様に対する緊急対応も何度もさせていただきました。また、メディアなどで取り上げられるサプライチェーンを震撼させる、品質やコンプライアンス上の大問題はこの先も継続すると思われます。それは、こうしたリスクに対する対応にお金をかけてこなかったことへの代償のように感じます。マツバラではこうした対応が完全にできている、もしくは完全を常に目指しています。その上で、多様化する社会に追従できるために最新鋭の設備と優秀な社員さんたちの改善の繰り返しにより、価格も驚くほどの高値ではなく適正になってきています。是非ともマツバラを見に来てください。「高いには高い理由があります。しかしきっと高くてもマツバラから買っておくべきだと推奨する自信もあります。」

 少し長くなりましたが、是非このように話して、お客様に理解をしていただくこと、そして近未来にマツバラを訪問してもらうことをお願いしてください。その先にはお客様のお客様にも是非とも訪問していただけるように導いてください。と伝えました。頼りにしていますよ。

社長 松原史尚

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