「母校山形大学工学部同窓会 米澤工業会に参加してきました」

「母校山形大学工学部同窓会 米澤工業会に参加してきました」

11月7日(月)

昨日のことになりますが、母校山形大学工学部の同窓会に参加してきました。

卒業して33年になりますが、これまでの人生、母校にはお世話になりっぱなしでした。

アメリカでの研修を終えて帰国して最初に任されたのは砂の研究室、研究とはいえそのもとになるデータは砂試験から得られるもので、その内容は分析化学実験そのものでした。たまたま、学会で名古屋に来ていた恩師が会社を訪問され、研究室を見学され、根本から叱られました。「大学で何を学んできたのだ」と。しかしながら、我々が実施していたのでは鋳造工学会でしっかりと決められた手順による試験でした。それでも、その試験が科学の専門家からすると、基本から大きく逸脱したもの、従って、正確なデータなど取れるはずもなく、先生に指摘され、そして指導も受けながら分析化学の基本に沿った実験に手順変更をしました。その結果、例えば残存する澱粉量の測定では、存在する量を0.5倍~2倍に間で測定できる超アバウトな試験から、小数点の2桁までに信頼性が持てる検出能力へと高めることが出来ました。こうしたデータをもとに確実な砂試験を実施し、研究を重ねることで砂に起因した不良を著しく低減することが出来ました。この試験で長く多くの鋳物工場へと砂試験データを提供し、業界の発展にも寄与できたと思います。そして今では、我々の砂試験方法が業界のスタンダードになっています。

切削加工性には良質スクラップが必要と大変高いスクラップを使用してきました。しかし、鋳鉄の中に存在する黒鉛の周辺に存在する微小シリコンがその原因と分かり材料を見直すことで、大きな下コスト低減に寄与したのは20年近く前、これも母校との共同研究から生まれました。そしてこの研究で当社から工学博士が初めて誕生しました。

現状では、鋳造工場内のホルムアルデヒドの量をいかに軽減するかとという研究をしています。この研究から、先週1件の特許を出願しています。まだまだ書きたいことはたくさんありますが、これくらいにするとして。とにかく、母校のおかげで当社は大きく発展しています。有難いことです。

話は戻り同窓会、行事報告、決算報告といった通常の総会が着々と進み、講演会に移ります。私は、この講演会を非常に楽しみにしています。この講演を機会に当社と大学の共同研究へと発展したケースもあります。

今回は、工学部長が「大学の近況と今後の課題(方向性)」という内容で話されました。山形大学は、昨今数えきれないほどの近未来で活用されるであろうテーマでの研究で注目されており、その近況は素晴らしいものなのです。その中での新たなテーマ、街のデザインの重要性についての話がありました。その礎となる一例として、直江兼続が進めた治水工事について紹介いただきました。直江家は、関ヶ原の戦いで西軍についてこで会津120万石から米澤30万国へと移動させられました。しかしながら、藩士とその家族はそのまま移動になるわけで、城下町の拡大が必要となり、土地の開墾にも力を入れたのですが、その中で実施された治水工事が見事なものであったこと。また、その治水管理を原型として、現在の米沢市の治水管理が行われており、今夏山形に起きた大雨(最上川の氾濫は記憶に新しい)の影響も米沢はほとんど受けることが無かったというお話も聞けました。こうした、歴史情緒あふれる米沢の新たな街のグランドデザインという話へと移っていきました。今回の総会でも、黒田学部長は米沢からのリモート出席、また多くの来賓もりもーろで出席、会員の多くもリモート出席であり、社会は今その場所に存在しなくても仕事ができる時代になっており、このように考えると、AIやDXの時代では、米沢で仕事をし、また農業を裏庭で行うような半農な生活へ回帰することも可能となってくる。そんな話もありました、そこから感じる人間の幸福感の創造や開発も都会を大きく離れた場所だからできることなのだという話も印象的でした。大が小を飲み込んでいく時代に終わりを告げなければ、新たな成長は絶対に生まれてこない。海や山の保全、ダイバーシティ、そこから繋がっていくカーボンニュートラル、SDGsへの取り組み、米沢だからできる未来づくりと大きな夢が膨らみました。

少々長くなりましたが、お付き合い有難うございました、ハイブリット総会を始めたのは自分が同窓会幹事であった二年前ですが今尚こうして進められています。何か新しいことを始めてみる。この精神は、母校山形大学で鍛えられた精神なのかもしれないと感じました。上杉家、直江家、こうした歴史的な街が作り出すムードが魅力的な米沢を一杯感じられる同窓会でした。これからも母校とのつながりを大切にしていきます。

さあ、今週もはじまります。がんばっていきます。

社長 松原 史尚

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