「フィリピン出張3」

「フィリピン出張3」

9月27日(水)

 昨日の午後「チャイルドホープ」農村やストリートで暮らす子どもたちを飢餓、貧困から守る活動を進めているNGOに訪問しました。この活動は1989年にスタート、現地の資産家の女性が私財をなげうってスタートしました。この女性、お目にかかることは出来ませんでしたが現在も96歳でお元気にセンター(彼女の自宅を改装した建物)の中で暮らしておられるとのこと。現在はMr. Herbert Q Carpioさんに引き継がれています。このHerbert さん、フィリピンの最高峰フィリピン大学の医学部を卒業したお医者様で、日本でいうところの東大理Ⅲを卒業した超スーパーエリートです。彼が全てを投げだしても、この活動をしていく意義にこの活動の大切さを感じています。ここでも今回コーディネートいただけた伊藤先生のネットワークの広さとこれまでの尽力(精進)が感じられます。フィリピンの国も他の国々と変わりません、貿易や金融、最近ではオンラインによる様々な事業で富裕層化した人(企業)がCSR・SDGsという名のもとに多くの寄付をしていただける件数は特にパンデミック前と比較して若干増えているようですが大きな金額の伸びはないようです。一方で、金額というよりも洋服、靴、食品、雑貨といったものを配布し、写真に納め自社の社会活動事業としての広報に使用されるケースも増えています。「魚を与えるのでなく、魚の釣り方を教えなければならない」のですが。もしくは金額を掲げるのでなく寄付をしたとう事実だけを報じるためのパフォーマンスも増えているようで、件数が増えているのに対して金額が大きく変わっていない現実があり、活動の本質が伝わっているかと言えばそうでない気がするとスタッフの女性が話されていたことに若干の寂しさを感じるところです。ここは昨日綴りましたBambooプロジェクトをACC21と共催している団体です、活動の趣旨は報告させていただいた通りです。土地を持たない農村の子どもたち、ストリートで暮らす子どもたちの自立に向かった活動を進めておられます。ストリートでも、既に孤児になっている子ども、ネグレクトによる育児放棄された子ども、親はいるが家族全てがストリートで暮らす子ども、様々なケースがありその支援方法も異なり苦労されているとのことです。先ずは、古いバンを改造し、車内にネット環境、電気配線、灯などもセットして移動教室としてストリートでの支援活動を進めておられます。その子供たちの中で、インタビューを繰り返し実際に支援していく子どもたちをピックアップし自立する子どもたちを増やしています。ストリートチルドレンの総数は把握できていません。5万人とも7万人とも言われていますが、その中でこの団体で支援できるのは500人程度です。先ずは、自分たちが大切な存在なのだということを子どもたちに教えていくことを目指して活動しています。大学生のインターンという仕組みはフィリピンにも定着してきています。マニラ大学の学生が10名以上インターンとしてソーシャルワーカーを目指して勉強(ボランティア)されています。この運動の更なる飛躍と若い世代の活躍を楽しみにし、何かしらの形で応援していきたいと考えます。

 最終日の本日は在比日本商工会議所を訪問してきました。ここでは本当に多くを学ばせていただきました。掲示板で役員選挙の投票結果が示されていましたが、日本では知らない人がいないビッグ企業ばかりの当選者でスケールの大きさに感じ入りながら、その副会頭様が対応いただけました。改めて伊藤先生のお顔の広さに感じいりました。

 一番の学びは何故に他のアセアン諸国に対してこの国が伸びていかなかったのかという点が理解できたことです。この国には、パブリックサービス法というものが存在してきました。フィリピンの自立を守るために、全ての業種で株式の過半数を外国資本が持てないというものです。従って、フィリピンに存在する全ての企業がフランチャイズであるということです。しかし、昨今この法律が改正されました。6業種を除くすべての業種で外国資本による経営が認められました。この6業種は、電気、ガソリン、ガス、水道といったインフラ関連事業に港湾事業を加えたもので、それ以外の事業の全てにおいて外国資本の参入が認められたのです。その他にも、外国投資法、小売業法も変わり、海外からの投資が出来るようになりました。

 昨今のフィリピン統計局の発表では、フィリピンの人口はまだまだ増え続けています。少子化を迎えるのは2050年から2060年になるのではないかというのが予想だそうですが、それも解らないところだそうです。いずれにしても今尚人口が増え続けているのは大きな国としてのエネルギーです。また、実習生の制度の裏側についても教えてもらえました。最初に、実習生の派遣に取り組もうとした人たちのほとんどがフィリピンパブへ人を送ってきたいわゆる「人買い」と呼ばれる集団であったために、国が大きな規制に乗り出し、フィリピン人を守るための仕組みを作っていったのだそうです。それでも人口は増え続けているので、海外に送り出し外貨は稼ぎたいという思いと、国民を守る取り組みが現状ではぶつかり合っており、少し手間取っているようですが、目指すべき方向は送り出したいというものであり、遠からず制度として整ってくると思われると教えていただきました。フィリピン人は人なつっこいのが特徴なので、飲食店や観光業にも向いているだろうとも話されていました。帰りの空港のラウンジでゲームをしながら遊ぶ明らかに富裕層の子どもたち、そしてセブンイレブンの前で勝手なドアボーイとして小銭をねだる子どもたち。路上で赤子を抱き、たくさんの子どもと座り込むファミリー(ほとんどは父親はいない)に属する子どもたち。この格差は開いていくばかりです。日本経済は、特に製造業では人材の確保が出来ないでいる中で、フィリピンでは多くの子どもたちが日本で働くことを夢見ています。この二つのニーズをマッチさせる取り組みを真剣に考えていきたいと感じた出張でした。何が出来るか?しかし一歩を踏み出していきたいと考えています。

社長 松原 史尚

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